大阪復権の鍵は
- 2007/10/20 01:35 JST
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大阪人は東京とよく比べたがるが,東京以外はすべて地方だ,というのは大方の見方だろう。東京人は少なくともそう思っている。大阪から東京へ移って,正直に感じたのは東京には梅田が何個もある,という規模の違いだった。
大阪はすでに地方になっているのだから,地方なりの生き方をしていかなければならないのに,旧勢力が幅を利かせて若い人に実権を渡さず,あたらしい技術を取り入れない。旧勢力の老人たちは,いまだに古きよき浪花の時代を顧みて,コンピュータなんて,インターネットなんて,と拒否反応ばかりが目立つ。
その中にある若い世代が,なんとかあたらしい技術を!と踏み出そうとしても若い世代に決裁権が渡されていないので,最後にあきらめざるをえなくなる。
大阪にいたころ,そういった若い世代からネットで検索されて相談を受けて対応したことが何度もあったが,なかなか実らなかった。
大阪市など,組合組織が頑固で,人員削減につながるからと,なかなかコンピュータ化が進まないなど,古きよき時代の逆の遺産が組織を蝕み,大阪自体を蝕んだのも大きいだろう。大阪市の窓口職員の全員がそうだとは言わないが,窓口へやってきた住民に対して,お客様だという認識を職員のひとりひとりがどれほどもっているのだろう。他の都市部へ転出してはじめてそれを痛感する。
大阪市へのグチはそれに留めるとして,大阪のSOHOは,大阪では紹介からの仕事は成り立つが,新規では受け入れてもらえないので,いかに東京の顧客を持てるか,で成功するかどうかが決まる,と当時本気で思った。実際,東京へ商談で行けば,確実に実ったものだ。ところが大阪では紹介客は確実なのだが,新規顧客はアポイントを顧客側から取ってきたにもかかわらず,時間をかけて説明してもほとんど成約しないからだ。
つまり,大阪では紹介でしか仕事ができないビジネス形態が常態化している,ということだ。これではあたらしいビジネスをはじめたり,あたらしい技術をとりいれたりするのに遅れを取るのは必至だ。
あたらしい技術はたいていネットで検索して直接アポイントをとって,取り入れていくものなのに,それをしないで知り合いだけを頼る。
結果,WEB制作にしても,SEO対策にしても知り合いの中から発注先を探すことになるので,往々にして良い仕事をしてもらえない。結果,WEB制作もSEOもやってみたけどだめだった,ということで消極的になったり懐疑的になっていくのは残念でならない。
大阪でIT企業が育たないのはそういう理由もあるだろう。大阪は厳しいビジネス環境なので大阪で全国エリア相手で仕事ができるというのはよほど高いスキルがあって成功しているともいえるわけで,そういった企業が東京へ出て行ってたいていすんなり成功しているのもうなづける。
大阪は,若い人をもっと大事にして育てることだと思う。
大阪新年互例会に2年続けて参加したが,国会議員や府・市会議員たちも参加してマスコミも加わってにぎやかではあるものの,ご老人ばかりで,あとは新地のママさんたちが花を添えるというような状態だった。どうして会社の若手を参加させないんだろうとはがゆく思う。名刺交換をしようとこれはという風采のひとに声をかけたが,みんなマスコミのひとたちだった。一般に参加しているひとたちで,これを機会に新しい人と出会ってなにかしようという意気込みのひとには残念ながらひとりも出会わなかった。
だが,一方でわたしは古きよき時代をつくった旧世代のよき文化が好きだし,大阪の「のり」が好きだ。セミナーを開催しても,東京よりずっと大阪のほうが盛り上がってたのしい。セミナーを開きつつ,いろいろなつっこみをいただくので漫談をさせられているような感じになる。
セミナーに参加しているひとたちは,オープンソースを活用したい,あるいはSOHOとして独立したいと思っている意欲のある若手だ。彼らが元気になる街になってほしい。決して彼らからグチを聞きたくない。
大阪が元気になるためには,大阪だけで固まらず,ネットワークを全国規模で広げて,知り合いだけに頼らないことだ。ネットで一気に範囲をひろげて良いものを取り入れる。そういう先進のこころを取り戻すことだ。そして若い人に実権を移す。そうして若い人が元気になればきっと大阪も元気になるはずだ。
そして,意欲を持っている若い人たちは,オープンソース活動に参加してみると良い。そこは活気があふれて,ネットワークは全国を超えて,世界だ。ボランティア精神あふれて,スキルを磨く場としてもっともふさわしい。仕事をすればするだけ評価され,それが次世代へと活かされる。ビジネスへの展開も自由だ。
目先の利益にこだわらず,万人の利益を考えることが大事だ。
大きな視野にたったビジネス,将来を見据えた企業運営を期待している。その前に大阪市の大改革が必要だと思うが。