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ベンダロックインビジネスはオープンソースに足元をすくわれる

  • 2007/11/30 17:25 JST
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ベンダロックインで縛っていく従来型のビジネスは遠からずオープンソースに足元をすくわれるだろう。なぜなら,ベンダロックインで縛られたほうは,なんとかこの呪縛から逃れようといろいろ模索するからだ。そんなとき,現在のシステムがオープンソースでもっと便利で高機能なものに置き換わるということを知ったら,すぐにでもシステムをオープンソースに置き換えていく可能性があるのだ。

年間数千万円もサイト運営にかけているが,何層にも下受けに出されているため要求がストレートに開発会社に伝わらない。要求してもなかなか変更に応じてもらえない。Geeklogを実際に使ってみて直感的な操作と高機能なところに驚いた。今のシステムをすっかりGeeklogに変えたい。実はきょう,そんな商談があった。

日本の企業はどこが責任を取ってくれるのかそればかりを気にして,どこも責任を取ってくれそうに無いオープンソースを最初からよく知ろうともしないで敬遠するので,オープンソースビジネスはなかなか大変だなと感じていたのだが,もし企業の担当者が質の高いオープンソースに出会って本当にその機能を知ったら簡単に今のシステムを置き換えていく可能性は十分にあるわけだ。

逆に,その大手ベンダーや,そこから受注して中間マージンを得ている会社,そして最後に受託している開発会社は,突然仕事を一挙に失うことになるわけで,それは当事者にとっては非常に恐ろしいことだ。結局顧客満足のために働いてこなかった報いであり,いつかは訪れる結果なのだが,人事ながら心配だ。

オープンソースはカスタマイズ業務を受注し,カスタマイズした開発部分は再びソースやドキュメントを公開して共有資産にする。オープンソースはそうやってますます強く進化していく。強いオープンソースならビジネスになる。さらに利用者や開発者は増え,徐々にオープンソースでビジネスをする人口が増えていくことだろう。

オープンソースならスキルさえあればSOHOも十分可能だ。なぜなら大手の会社が提供している商用のシステムより,機能でも価格でもはるかに優位なオープンソースなら,企業規模で負けていようとも十分勝負になるからだ。

※ベンダロックインとは,ある特定の会社がユーザーを自社システムで囲い込むこと。根幹のシステムを特定のベンダーのシステムにしてしまえば,あらゆるカスタマイズ開発やメンテナンスなどはベンダーのいいなりにならざるを得ない状態に陥る。できるだけ他社が入り込まないよう,分かりにくい仕様にしたり,特殊なプログラムを使う悪質な事例も少なくない。

オープンソースがドイツで盛んな理由

  • 2007/11/28 11:49 JST
  • 表示回数 2,358

OpenOffice.orgがドイツ、Geeklogもドイツ…。オープンソースのプロジェクトリーダがドイツ人の比率はかなり高いのではないか。

ドイツではゴミの分別収集も徹底するなど、合理主義、省エネルギーといった理念はどの国よりも高いように思うが、そういう国民性が反映しているのかもしれない。

オープンソースは、非常に合理的な開発プロジェクトだ。だれもが関わることができてだれもが自由に利用できる。開発した資産はかならず公開されてみんなのものになるので、重複してあちこちで無駄に開発することが無い。開発資産は世界中の利用者に引き継がれる。

Geeklogのあるドイツ人コア開発者に、オープンソースでどうやってビジネスにしているのかを簡単にメールで聞いてみた。ドイツでは、開発会社がソフトウェアを開発したらそれをオープンソースとしてリリースし、サポートすることで利益を得るのだそうだ。日本ではまだまだほんの一部の企業の動きであり、大きな動きになっているとは言い難い。

オープンソースとして世界中のひとたちに利用してもらうためには、多言語化だけでなく、関数の前置子の取り決めやソースファイル名、ディレクトリ構成、カスタマイズ手法の提示、汎用的な機能追加手法の提供など、バージョンアップを継続しても、様々なカスタマイズを行っても、ソフトウェアの内部がゴチャゴチャにならないようにあらかじめ設計しておく必要がある。公開するからには恥ずかしくないソースでなければならないし、ソースコードがバージョンアップに際し、どのように修正されたかドキュメントも必須だ。

このように、公開することでプログラムがよりきれいになり、整理され、完成度が上がっていくものだ。
日本でも、もっと多くの企業がオープンソース理念に賛同してソフトェアを公開し、サポートを主体にビジネスを行っていくようになれば、大企業だけでなく、SOHOのような小規模事業者でも能力次第でサポートビジネスが各所で展開されていくのではないだろうか。

また、そうなれば、同じようなソフトウェア、機能が、同時に複数の会社で開発するのではなく、より高機能なオープンソースをさらに高機能にしていくので、開発人材をより有効に配置できるはずだ。

オープンソースをリリースする企業としては、リリースすることでより多くのひとたちに利用され、開発費用を出すことなく、無尽蔵に存在する世界中の開発者が勝手にどんどん機能をアップしてくれるわけで、永遠に次々とバージョンアップしていくソフトウェアをしかもそのオープンソースの配布元としてクライアントに提供できる。将来を見越した、近江商人に受け継がれる理念である三方よしをそのまま実現することにもなる。ちなみに、三方よしとは、売り手よし ・ 買い手よし ・ 世間よし。

さらにもうひとつ言いたい。日本ではかたくなに開発したら開発ドキュメントを求める会社がまだまだ多い。が、せっかく納品されたドキュメントの紙の山は、実際には活用されること無く死蔵される。開発と同じくらい大きな労力が必要とされるにも関わらず、だ。現状の開発スピードに対応するには、ドキュメントなどを一々揃えている暇は無いだろう。オープンソースにすると、ドキュメント化しなくても自然にだれもが見やすく開発しやすい設計を最初から行うことになるし、オープンソースに関する書籍などもすでに充実している場合も多い。できるだけオープンソースを利用して、ドキュメントの省力化を図って欲しい。そして開発したらオープンソースとしてリリースして欲しい。

オープンソースコミュニティをつくる方法

  • 2007/11/24 13:58 JST
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オープンソースを,ただ,無償で手に入れられるからというだけでよく研究もしないまま利用してビジネスにしようという動きが一部でみかけるが,残念だ。

なぜ無償で手に入れることができているのか,その背景や,そのソフトウェアの周辺状況をよく確認もしないでユーザに有償で提供するのは暴挙だろう。

ユーザ会にも入らないで情報を得ないまま,なにかビジネスになりそうだからというだけで勝手な動きを個々に行ってしまうのではなく,利用してなにかあったらすぐフィードバックしたり,おなじユーザ会のなかまで最新の情報を共有していく姿勢は,最低限必要なのではないか。

オープンソースによっては,まだまだユーザ会を組織できていない場合も少なくない。
そんな場合は,まずは,オープンソースの総合SNSであるOSPN SNSに参加して,該当のオープンソースコミュニティに入って欲しい。

もし無ければ自身で開設し,副管理者を設定して共同管理していくことも可能だ。しかるべきひとが参加して運営できる見込みができればコミュニティの管理権限を譲渡することもできる。

オープンソースを底辺から盛り上げようとする動きとしては,オープンソースカンファレンス(OSC)が最も有名で,OSCはOSPNの様々な活動の一部として定着してきた。OSPNの次の動きとして,SNSコミュニティでOSCのみならず,オープンソース全体のコミュニティスペースの提供だ。その次にくるものは,オープンソースWikiであったり,オープンソース検索システムであったりするのかもしれない。

もちろん,自前でコミュニティを平行してつくるべきだ。ただ,MLだけでなく,SNSをぜひ使って欲しい。オープンソースの開発は,どういった人物が関わってコードが提供されているのか外からもよくわかる仕組みにしておく必要がある。その場合,SNSは最適な個人特定システムがあるからだ。

開発者のリーダだけに責任や運営を集中させないで分散させて総合力をつけるための手法としても,SNSは最も有効な手段だ。

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