[みんなの回答]開発者とうつ
- 2007/11/09 03:29 JST
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わたしには高校3年で今年大学を受験する長男がいるが,理系に進むものの,情報処理系統を受けないことに実は内心ほっとしている。
コンピュータ開発は,非常に最先端で高度な技術が要求されながら,サービス業であり,最先端で働くもっとも優秀な開発者は20代から30代前半なので,会社組織としては下位層にある。賃金もたいていの場合,なにもできない上司よりずっと生産性の高い開発者のほうが低い。多くのライバルと社内で静かな闘争を繰り広げながら,弱音を吐けない民間企業の彼らの立場は危うい。弱音を吐けば,退職を示唆されても仕方がないくらい会社もゆとりを持てない。派遣の開発者たちはさらに危うい。
仕事がわからない現役を疾うに過ぎた上司たちは,クライアント企業から仕事をもらうわけだが,たいていは十分な受注額にならず ,しわ寄せはすべて,最も優秀な末端開発者だ。
さらに悪いことに,優秀な開発者には,その能力ゆえにさらに多くの仕事が回ってくる。
責任感が強く,生真面目でよく気がつく優秀な開発者が長時間労働のため太陽をまともに浴びれない生活を永年送れば,うつにならない方がおかしい。
うつになっても,本人は気がつかず,まわりの人間も徐々に状態が変化するので見逃して,さらに事態は深刻になる。
気がついても,厳しい経営環境であれば,相談したら真っ先に移動など,意にそぐわない仕事がまわるか,かるく肩をたたかれてしまうかだ。
うつは, 思いもよらない症状がいろいろおこるので,本人が自覚するのは非常に困難だ。認めなくない気持ちも,生真面目で優秀な開発者ほど大きい。
そんなとき,スパッと社内で移動を希望して自ら環境を変えるか,転職して一切の過去を消して再スタートすることによりある程度解決する。開発者には転職組が多い。
わたしの場合は,勤めていた会社をやめて自らやりたいこと,みんながやってほしいことを模索して起業したことだ。おなじ開発の仕事でも,やらされる仕事と自ら企画してやる仕事とは,ストレスのかかり方はまるで違う。
優秀な開発者は,いずれ起業することを目指して,開発だけではなく様々な部門を経験してできる限りノウハウやネットワークを広げ,同時に自らホームページも開設して,できれば,情報技術を販売するような仕組みを準備し,いつでも退職してSOHOになる道を念頭に,今の仕事にがんばればよい。
そんなとき,オープンソースは大きな武器になるはずなので,十分研究して欲しい。
そうすれば,いつでもやめられるという安心感で,最悪の事態に踏み込むことは少なくなるはずだし,SOHOになってある程度生活ができるのであれば,たとえ収入が減ったとしても,仕事の達成感や生活をたのしむこころ,家族といっしょに生きるたのしみなど,精神面で得るものは大きいはずだ。